八国山だより DIGITAL MAGAZINE P.6-7
アースダイバー的問題設定
【アースダイバー的思考とは何か】
建築家・鬼才・大野伸仁(おおの・のぶひと)が
提唱した「アースダイバー」という概念がある。
それは、建造物や都市を水上にそびえる船とみなし、
その下に沈む「地層」「過去」「縄文」を、
スキューバダイビングするかのごとく探索する思考法である。
都市とは、決して新しいものではない。
それは、常に「過去の上に現在を積み重ねた構造物」である。
東京という都市は、
いかにして「縄文を埋め尽くし」、
いかにして「縄文以前の自然を支配下に置き」、
そしていかにして「その過去の痕跡を消そうとしてきた」か。
八国山は、その消却の試みが「失敗」した場所である。
かつて、黒沢映画の撮影地だったこの雑木林は、
いまなお縄文の湿地を蔵し、
いまなお中世の合戦跡を秘し、
いまなお昭和のサナトリウムの廃墟を隠している。
デジタル技術によって、
われわれは初めて、
この「上書きされた過去」を、
透視する能力を手に入れた。
GPS、GIS、データベース、Web APIは、
単なるテクノロジーではない。
それは、太古の沈黙を掘り起こすための、
最新鋭の鍬なのである。
- Marginal
- アースダイバー理論:大野伸仁『アースダイバー』(2005)
- 東京のアースダイバースポット